予定納税とは?フリーランスが7月・11月に払う仕組みと減額申請【2026年】
税務・確定申告
確定申告を終えてホッとしていた矢先、7月に税務署から「納付書」が届く——。「え、もう払ったはずでは?」と戸惑う人が毎年います。これが、フリーランス2〜3年目に多くの人が初めて経験する予定納税です。
予定納税は、前年に稼いだ分の税金を、今年の途中で先払いする仕組みです。しかも「今年の収入が激減していても」、原則として前年の数字が基準になります。第1期の納付期限はおおむね7月末。今まさに納付書が手元にある人も多いはずです。
この記事では、予定納税の基本的な仕組みと、収入が落ちた年に使える「減額申請」の手続き、そして振替納税の注意点を、2026年時点の情報をもとに整理します。制度の細部は改正や年ごとの日付で変わるため、最終的な金額・期限は必ず国税庁の通知書や税理士でご確認ください。
予定納税とは何か——確定申告後に「また払う」仕組みの正体
予定納税とは、前年の所得税額をもとに、当年分の所得税を前払いする制度です。国が税収を安定させ、納税者の一括払いの負担を和らげる目的で設けられています。
対象になるかどうかは「予定納税基準額」という金額で判定されます。これは、ざっくり言えば前年の所得税額から源泉徴収された税額などを差し引いた後の「申告納税額」に相当するもので、この額が15万円以上だと予定納税の対象になります。
対象者には、通常6月中旬ごろに税務署から「予定納税額の通知書」が郵送されます。通知が来なければ、原則として予定納税を払う必要はありません(前年の基準額が15万円未満なら対象外)。裏を返せば、通知が届いたら期限内の納付が必要で、放置すると延滞税がかかります。
副業からフリーランスへ移行したばかりの人は、そもそも自分に確定申告や納税義務があるのかから整理しておくと安心です。判断の境目は副業の確定申告、いくらから必要?で詳しく解説しています。
予定納税はいつ・いくら払う?——第1期は7月、第2期は11月
予定納税は、前年の申告納税額(予定納税基準額)の3分の1ずつを2回に分けて納付し、翌年の確定申告で最終精算します。
| 回 | 納付時期 | 金額 |
|---|---|---|
| 第1期 | 7月1日〜7月31日 | 前年の基準額 × 1/3 |
| 第2期 | 11月1日〜11月30日 | 前年の基準額 × 1/3 |
| 確定申告 | 翌年2月16日〜3月15日ごろ | 残額を精算(追納 or 還付) |
たとえば前年の申告納税額が90万円だった場合、7月と11月にそれぞれ約30万円を納付し、残りを翌年の確定申告で精算するイメージです。
「また課税された」わけではない
予定納税は新たな課税ではなく、確定申告に向けた分割前払いです。前払いした額が最終的な税額を上回れば、その差額は確定申告後に還付されます。収入が落ち込んだ年は、払いすぎた分が戻ってくると考えておくとよいでしょう。
なお、納期限が土日祝にあたる年は、その翌開庁日が期限になります。第1期は例年7月末が目安ですが、正確な期日は通知書で確認してください。
資金繰りを直撃するパターン——開業2〜3年目の落とし穴
フリーランスが初めて予定納税の通知を受けるのは、開業2〜3年目が多い傾向があります。
理由はシンプルです。開業1年目は前年(会社員時代など)の申告納税額が15万円未満で対象外になることが多く、2年目・3年目に入って前年の稼ぎが伸びたタイミングで、初めて「7月に数十万円の納付書が届く」事態になるからです。
とくに危険なのが、**「前年は稼いだが、今年は収入が落ちている」**というケース。予定納税は前年ベースで計算されるため、今年の実態とかけ離れた金額の前払いを求められ、手元現金が一気に不足します。
対策の基本は、確定申告を終えた時点で「予定納税がいくらになるか」を試算し、7月・11月分をあらかじめ積み立てておくこと。売上が大きい年ほど翌年の予定納税も大きくなるので、フリーランスと消費税——売上1000万円のラインで触れる消費税の負担ともあわせて、税金の「先取り貯金」を習慣にしておくと安全です。
収入が減った年の切り札「減額申請」
当年の収入が前年より大幅に減りそうな場合、予定納税額を減らしてもらう減額申請ができます。廃業・休業・業況不振などで、その年の「申告納税見積額」が通知された予定納税基準額を下回ると見込まれるときが対象です。
申請の期限(原則)
- 第1期・第2期の両方を減額したい場合:7月15日までに申請(6月30日時点の現況で見込み計算)
- 第2期のみ減額したい場合:11月15日までに申請(10月31日時点の現況で見込み計算)
この「7月15日」「11月15日」は原則の期日で、その日が土日祝にあたる年は翌開庁日にずれます(たとえば11月15日が休日の年は、翌開庁日が期限になります)。正確な締切は、その年の国税庁の案内で必ず確認してください。
手続きは「予定納税額の減額申請書」を所轄の税務署に書面で提出するか、e-Taxでオンライン申請することもできます。
実務上の注意点——見込みは保守的に
減額申請には「当年の見込み収入・税額」を記載する必要があります。ただしフリーランスは年末まで売上が確定しないことも多く、正確な見込みを立てるのは簡単ではありません。
現実的なのは、保守的な(やや低め寄りの)見込みで申請しておき、実際の収入が見込みを上回ったら確定申告で差額を追納するやり方です。見込みより収入が多くても、確定申告で精算すれば問題ありません。無理に高い数字で申請して手元現金を圧迫するより、資金繰りを守る方を優先しましょう。
振替納税は使うべき?——「延長」の勘違いに注意
予定納税・確定申告の納付方法として便利なのが、口座から自動で引き落とされる振替納税です。ただし「振替納税にすると期限が1ヶ月延びる」とよく言われますが、ここは正確に理解しておく必要があります。
予定納税分(第1期・第2期)の振替日は、原則としてその期の納付期限の最終日と同じとされています。たとえば第1期なら7月末、第2期なら11月末が引落日で、予定納税そのものは基本的に延長されません。
一方で、確定申告分(3月15日ごろが期限)の振替日は、例年4月下旬に設定されます。つまり「約1ヶ月以上あとに引き落とされる」という猶予メリットは、主に確定申告分に当てはまるものです(振替日はその年により異なるため、必ず国税庁の案内で確認してください)。
とはいえ、振替納税には予定納税でも有効なメリットがあります。
- 払い忘れがなくなる:期限を忘れて延滞税が発生するリスクを避けられる
- 手間がかからない:コンビニや窓口に行かず自動で引き落とされる
所得税・消費税など複数の税目を扱うフリーランスにとって、払い忘れ防止の効果は小さくありません。手続きは税務署またはe-Taxで「預貯金口座振替依頼書」を提出するだけで、一度設定すれば翌年以降も継続適用されます。引落日前に口座残高を確認しておくことだけは忘れないようにしましょう。
2025年(令和7年)の改正で予定納税は変わる?
2025年(令和7年)分の所得税から、基礎控除の引き上げなどの税制改正が行われました。合計所得金額に応じて基礎控除が拡大される見直しがあり、これによって人によっては最終的な所得税額が下がる可能性があります。
予定納税は前年の税額をベースに計算されるため、こうした改正の影響は主に翌年以降の基準額に反映されていくと考えられます。改正の適用時期や金額の細部は複雑で、個々の状況によって影響が異なるため、自分のケースでどう変わるかは最新の国税庁情報や税理士で確認するのが安全です。断定的な自己判断は避けましょう。
こうした毎年の改正を踏まえて、確定申告そのものの流れを一度おさらいしておきたい人ははじめての確定申告のやり方、節税の土台となる青色申告65万円控除の取り方もあわせて読んでおくと、予定納税の位置づけが理解しやすくなります。
まとめ:予定納税で押さえる3つのポイント
対象は「前年の申告納税額(予定納税基準額)15万円以上」。7月・11月に各3分の1を前払いする。確定申告後に納付書が届いたら、それが予定納税。払いすぎれば確定申告後に還付されます。
収入が大きく減った年は減額申請を活用する。原則として第1期・第2期の両方なら7月15日まで、第2期のみなら11月15日まで(休日の年は翌開庁日にずれます)。見込みは保守的に設定し、確定申告で精算するのが実務的です。
振替納税は「払い忘れ防止」に有効。ただし延長メリットは主に確定申告分。予定納税分の引落日は原則として納期限の最終日と同じで、確定申告分が例年4月下旬の引き落としになります。
予定納税は「知らないと資金繰りを直撃するが、仕組みを知っていれば怖くない」典型的なテーマです。まずは通知書の金額と期限を確認し、7月・11月分を先取りで積み立てておくことから始めましょう。
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本記事は2026年7月時点の情報にもとづく一般的な解説です。税制は改正され、期限や振替日は年により異なります。具体的な金額・手続き・締切は、必ず国税庁の通知書・公式サイト、または税理士でご確認ください。
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