個人事業税とは?フリーランスがいくらから・どの業種で払うのか【事業主控除290万円】

税務・確定申告

「確定申告は終わったのに、8月ごろ都道府県から見慣れない納税通知書が届いた」——フリーランスとして所得が増えてくると、こうした場面に出会うことがあります。その正体が 個人事業税 です。

所得税や住民税と違って会社員時代にはなじみがなく、「いくらから払うのか」「自分の業種は対象なのか」がわかりにくい税金です。この記事では、個人事業税の仕組み・事業主控除290万円・業種別税率・納付タイミングを、フリーランス目線で整理します。

なお個人事業税は国(税務署)ではなく、都道府県が課す地方税です。制度の細部は都道府県ごとの条例で運用が異なる場合があるため、最終的な判断はお住まいの都道府県税事務所の案内をご確認ください。


個人事業税とは——都道府県が課す地方税

個人事業税は、一定の事業を営む個人に対して都道府県が課す地方税です。前年(1月1日〜12月31日)の事業所得をもとに計算され、翌年に納付します。

会社員が払う所得税・住民税は「給与から天引き」でほぼ完結しますが、個人事業税は事業を営む人にだけかかるため、独立して初めて存在を知る人が多い税金です。

ポイントは大きく2つあります。

  1. すべての事業に課税されるわけではない(法定70業種に限られる)
  2. 事業主控除290万円があるため、所得が少ないうちは課税されない

この2つの条件を、順に見ていきます。


いくらから課税される?——事業主控除290万円

個人事業税には、年間290万円の事業主控除があります。これは業種を問わず一律で差し引ける控除で、各種控除を差し引いた後の事業所得が290万円以下であれば個人事業税はかかりません。

つまり「いくらから課税されるのか」の一つの目安が、この 290万円 です。

  • 年の途中で開業・廃業した場合、事業主控除は営業期間に応じた 月割 になるとされています
  • 個人事業税の計算では、所得税の青色申告特別控除(65万円など)は適用されない点に注意が必要です(個人事業税には独自の控除体系があります)

正確な控除の当てはめ方は都道府県によって案内が異なる場合があるため、詳細は都道府県税事務所の説明をご確認ください。

計算式のイメージ

個人事業税は、おおまかに次の式で計算されます。

(事業所得 − 各種控除 − 事業主控除290万円)× 業種別の税率

たとえば事業所得が390万円で税率5%の業種の場合、(390万円 − 290万円)× 5% = 5万円 が目安となります(他の控除は考慮しない単純化した例です)。実際の税額は都道府県が計算するため、あくまで概算のイメージとしてご覧ください。


対象になるのは法定70業種——非該当なら課税されない場合も

個人事業税がかかるのは、地方税法で定められた 法定70業種 に該当する事業だけです。これらは大きく3つの区分に分かれ、区分ごとに税率が異なります。

区分 主な業種 税率
第1種事業(37業種) 物品販売業・製造業・飲食店業・不動産貸付業・運送業・出版業・請負業など 5%
第2種事業(3業種) 畜産業・水産業・薪炭製造業 4%
第3種事業(大半) 医業・弁護士・税理士・公認会計士・社会保険労務士・デザイン業・コンサルタント業・美容業など 5%
第3種事業(一部) あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復・装蹄師業 3%

多くの業種は税率 5%、第2種の畜産・水産・薪炭製造が 4%、第3種のうちあんま・鍼灸・柔道整復などの一部が 3% という構成です。

システムエンジニア・ライターなどは課税されないことがある

注意したいのが、法定70業種のいずれにも明確に該当しない事業は、個人事業税が課税されない場合があるという点です。

たとえばシステムエンジニア・プログラマー・一部のライターなど、70業種の枠に当てはめにくい職種は、結果として課税対象にならないケースがあると言われています。

ただしこれは都道府県による事業内容の判断によって変わります。同じ「エンジニア」でも、実態が請負業・コンサルタント業などに当たると判断されれば課税されることがあります。「自分の職種だから絶対にかからない」と自己判断せず、通知が届いた場合や不安がある場合は、お住まいの都道府県税事務所に確認することをおすすめします。

この「業種によって扱いが変わる」考え方は、無料で受験できるフリーランス検定(ベーシック・30問)でも税金分野の基礎として出題される範囲です。知識の整理に活用してください。


申告は原則不要——都道府県が計算して通知してくれる

個人事業税については、専用の申告は原則として不要とされています。

確定申告(または住民税の申告)をしていれば、その内容が都道府県に共有され、都道府県側が税額を計算します。所得税のように自分で税額を出して申告・納付する必要は、基本的にありません。

そのため、多くのフリーランスにとって個人事業税は「気づいたら通知書が届いている」税金です。確定申告を正しく済ませておくことが、そのまま個人事業税の手続きにもつながります。


納付のタイミング——翌年8月・11月の年2回

個人事業税は、原則として 翌年の8月と11月の年2回 に分けて納付します。

  • 8月上旬ごろに都道府県から納税通知書(および納付書)が届く
  • 第1期:一般的に8月31日が納期限
  • 第2期:一般的に11月30日が納期限(納期限が土日祝の場合は翌開庁日にずれるとされています)

税額が少額の場合は1回にまとめて納付する取り扱いもあるなど、運用は都道府県によって異なることがあります。正確な納期限・金額は届いた納税通知書の記載を必ずご確認ください

「後払い」に備える

個人事業税は前年の所得に対して翌年に払う「後払い」の税金です。独立して所得が伸びた翌年は、所得税・住民税に加えてこの個人事業税が重なり、夏〜秋に納税が集中しがちです。

対策はシンプルで、稼いだお金の一定割合を納税用に取り分けておくこと。個人事業税単体は税率3〜5%と大きくありませんが、他の税金と重なる時期の資金繰りを意識しておくと安心です。確定申告そのものの流れは「フリーランス・副業の確定申告、初めてでも迷わないやり方を全ステップで解説」も参考にしてください。


まとめ:個人事業税で押さえる3つのポイント

  1. 事業所得290万円以下なら課税されない:業種を問わず一律の事業主控除290万円があり、これを超えた部分に業種別税率(3〜5%)がかかる。年の途中の開業は月割

  2. 対象は法定70業種のみ・非該当なら課税されない場合も:第1種・第3種の多くは5%、第2種(畜産・水産・薪炭製造)4%、第3種の一部(あんま・鍼灸・柔道整復等)3%。SE・プログラマー等は課税されないこともあるが、最終判断は都道府県による

  3. 申告は原則不要・翌年8月と11月に納付:確定申告をしていれば都道府県が計算し、8月ごろ通知書が届く。第1期8月・第2期11月の年2回が原則。正確な額は通知書で確認

個人事業税は、所得税・住民税・消費税と並ぶ「フリーランスが向き合う税金」の一つです。電子書籍『フリーランスの教科書』では、これらの税金の全体像から確定申告・独立後の実務までを全110章で体系的に解説しています。あわせて「フリーランスの経費、何が認められる?」も、事業所得を正しく計算するうえで役立ちます。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、2026年7月時点の公開情報にもとづきます。税率・控除・納付時期などの制度運用は都道府県ごとに異なる場合があり、改正されることもあります。個別の判断は、お住まいの都道府県税事務所または税理士など専門家にご確認ください。


参考リンク

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