フリーランスの保育園入園——就労証明書は自分で書く。不利になりやすい理由と準備するもの

社会保険・年金

フリーランスには育児休業がありません。そのうえ、子どもを保育園に預けようとすると、会社員なら勤務先が発行してくれる就労証明書を自分で書くことになります。

「自分で書ける=好きに書ける」ではなく、実際には事業をしている事実と就労実態を客観的に示す資料が求められ、書き方によっては点数を低く見積もられることもあります。認可保育園の申込みが本格化するのは秋(多くの自治体で10〜12月)ですが、準備は夏のうちから始められます。

この記事では、フリーランス・個人事業主が保育園に申し込むときの就労証明書の位置づけ、不利になりやすい理由、そろえておくべき資料と準備手順を整理します。

注意: 本記事は2026年7月時点で確認できた公式情報(こども家庭庁・自治体の一般的な運用)にもとづく一般的な解説です。保育園の入園基準・点数表・必要書類・提出期限は市区町村ごとに大きく異なります。実際の申込みにあたっては、必ずお住まいの市区町村が公表する募集要項でご確認ください。


大前提:保育園は「保育の必要性の認定」+「点数による利用調整」で決まる

認可保育園の入園は、大きく2段階です。

  1. 保育の必要性の認定:就労・妊娠出産・疾病・介護・求職活動などの事由に該当するかを市区町村が認定します
  2. 利用調整(選考):申込みが定員を超える場合、各世帯の状況を点数化して優先順位をつけます

就労を事由とする場合、認定の下限となる就労時間は、月48時間以上64時間以下の範囲で市区町村が定めることとされています。実際に月48時間なのか64時間なのかは自治体によって違うため、まず募集要項でこの数字を確認してください。

そして2の利用調整では、就労時間が長いほど点数が高くなる設計が一般的です。ここでフリーランスの就労時間をどう書き、どう裏づけるかが効いてきます。


就労証明書は「自分で書く」——それ自体は問題ない

会社員は勤務先の人事・総務が就労証明書に記入・押印します。個人事業主・フリーランスは雇用されていないため、事業主である本人が自分の就労状況を記載します。自治体によっては「就労状況申告書」「自営業申立書」など別の名称の様式が用意されていることもあります。

この様式については、こども家庭庁が就労証明書の標準的な様式を公表しており、市区町村が原則としてこの標準様式を用いる方向で運用が整理されています(令和6年内閣府令第84号)。自治体独自の追加欄が設けられることもありますが、基本の記載項目は共通化が進んでいます。

自分で書くこと自体は正規の手続きであり、後ろめたさを感じる必要はありません。問題は、その記載を裏づける資料をどこまで用意できるかです。


フリーランスが不利になりやすい3つの理由

理由1:就労の「実態」を客観的に確認しにくい

雇用契約があれば、勤務先という第三者が就労を証明します。フリーランスは自己申告になるため、自治体は確定申告書の控え開業届の写しなどで事業の実在を確認します。開業直後で確定申告の実績がない場合、この確認が弱くなり、追加資料を求められることがあります。

理由2:在宅就労が別区分に置かれることがある

自治体によっては、居宅内での就労(自宅で働く)を居宅外就労と区別し、点数表で低めに扱う運用があります。「自宅にいる=子どもを見られるはず」という前提が背景にあります。在宅中心のフリーランスはここで差がつきやすい部分です。

ただし近年はリモートワークの一般化を受けて区分を見直す自治体もあり、扱いは自治体差が大きい項目です。自分の自治体の点数表で「居宅内・居宅外」の区分があるかを必ず確認してください。

理由3:就労時間が変動しやすい

繁閑差が大きい働き方だと「月あたり何時間」を書きにくく、少なめに申告してしまいがちです。点数は申告した就労時間をもとに算定されるため、実態より控えめに書くと不利になります。逆に、裏づけのない過大な申告は不適切です。稼働実績を記録しておき、説明できる数字を書くのが正解です。


準備しておくもの——今日からできること

必要書類は自治体によりますが、フリーランスに求められやすいのは次のような資料です。

資料 何を示すか 備考
確定申告書の控え(収受印・受信通知付き) 事業所得の申告実績=事業の実在 直近1年分を求められることが多い
開業届の控え 事業の開始 申告実績がない場合に重要
業務委託契約書・注文書 継続的な仕事の存在 取引先名・期間がわかるもの
請求書・入金がわかる通帳 実際の稼働と報酬 直近数か月分
稼働記録(業務日誌・作業ログ) 月あたりの就労時間の根拠 自作で構わない

このうち確定申告書の控えは、事後に用意するのが最も面倒な書類です。e-Taxで申告した場合は受信通知(メッセージボックス)とセットで保管しておきましょう。申告そのものの流れは「フリーランスの確定申告——初めてでも迷わないやり方」、開業届については「開業届と青色申告承認申請書をe-Taxで出す手順」で解説しています。

そして稼働記録は、今日から始められて、後から作れないものです。カレンダーやタスク管理ツールで「いつ・何時間・どの案件」を残しておくだけで、就労時間の申告に根拠が生まれます。


書くときの実務ポイント

  • 屋号・事業所所在地・連絡先を空欄にしない。自宅兼事務所なら自宅住所で構いません
  • 就労時間は「月あたりの合計」で説明できる形に。週◯日×1日◯時間の内訳を書けるようにしておく
  • 自治体によっては屋号入りの印を求められることがあります。事前に募集要項で押印の要否を確認
  • 育児中の稼働見込みも書く。産後の復帰予定時期や稼働予定を記載する欄がある様式もあります
  • 虚偽記載はしない。判明した場合、入園内定の取消しや退園につながる重大な不利益があります

「今は仕事がない」フリーランスの選択肢

出産で一時的に案件を止めていると、就労を事由とした申込みが難しくなることがあります。その場合でも、

  • 求職活動を事由とする認定(期間限定で認められる自治体が多い)
  • 妊娠・出産を事由とする認定(産前産後の一定期間)
  • 認可外保育施設・一時預かりの利用実績を作り、翌年の申込みにつなげる

といった経路があります。いずれも期間や点数の扱いが自治体で異なるため、役所の保育担当窓口に直接相談するのが最短です。

なお、フリーランスの出産・育児まわりでは、2026年10月に国民年金の育児免除制度が始まります。保育園とは別の話ですが、同じ時期に手続きが重なるため、あわせて確認しておくと取りこぼしがありません。詳しくは「国民年金の育児免除が2026年10月スタート」を参照してください。


申込みまでのスケジュール感

多くの自治体で、4月入園の一次申込みは前年の10〜12月に締め切られます。そこから逆算すると、

  • 8〜9月:募集要項の公開を待ちつつ、稼働記録をつけ始める。確定申告書の控え・開業届の控えの所在を確認
  • 10月:募集要項・点数表を入手。就労時間の下限、居宅内就労の扱い、必要書類を確認
  • 11〜12月:就労証明書を作成し、添付資料をそろえて提出

という流れになります。自治体の募集要項が出る前にできる準備(記録と書類の所在確認)を先に済ませておくのが、フリーランスにとって現実的な戦い方です。


まとめ:フリーランスの保育園申込みで押さえる3ポイント

  1. 就労証明書は自分で書くのが正規の手続き: 雇用されていないため本人が作成します。こども家庭庁の標準的様式が整備されており、記載項目はおおむね共通化されています。後ろめたく思う必要はありません

  2. 勝負は「客観資料」と「稼働記録」: 確定申告書の控え・開業届の控え・契約書・請求書に加え、月あたりの就労時間を説明できる稼働記録が効きます。記録は後から作れないので、申込みの数か月前から残し始めてください

  3. 基準は自治体ごとにまったく違う: 就労時間の下限(月48〜64時間の範囲で市区町村が設定)、居宅内就労の点数の扱い、必要書類、締切はすべて自治体差があります。募集要項と点数表を必ず自分の目で確認しましょう

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参考リンク

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