フリーランスの開業届の書き方・e-Taxでの出し方と青色申告承認申請をセットで
働き方・開業
フリーランスとして独立したら、早めに税務署へ届出を出しておく必要があります。
「開業届」と「青色申告承認申請書」の2枚です。どちらも同日にまとめて出せますし、e-Taxを使えば税務署に出向かずにオンラインで完結できます。
この記事では、各書類の書き方・e-Taxでの提出手順・提出期限と罰則の有無・青色申告65万円控除の条件を実務目線で解説します。
まず整理:フリーランス開業時の税務署提出物
フリーランスが独立直後に税務署へ出す書類は、大きく3種類あります。
| 書類 | 目的 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) | 個人事業主として税務署に登録する | 開業日から1ヶ月以内(罰則なし) |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告を選択し節税メリットを得る | 開業日から2ヶ月以内(1月1日〜15日開業は当年3月15日) |
| 適格請求書発行事業者の登録申請書(インボイス) | インボイス登録をする場合のみ | 随時(開業時点では義務なし) |
インボイス登録は、取引先から登録を求められている場合や自ら必要と判断した場合に申請します。この記事では開業届と青色申告承認申請書の2点に絞って解説します。
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の書き方
書き方の基本
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。国税庁のWebサイトからPDFをダウンロードできます。
記入項目の要点
- 納税地: 住民票上の住所(自宅で仕事をする場合は自宅住所)
- 氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー): 本人のもの
- 職業: 実態に合った職業名を書く(例:「ライター」「Webデザイナー」「プログラマー」「ITコンサルタント」など)
- 屋号: 屋号付き銀行口座を作りたい場合は記載。なければ空欄でも問題なく、後から変更もできる
- 開業日: 「最初に売上が発生した日」や「本格的に活動を開始した日」が一般的。多少遡って設定することも認められている
- 事業の概要: 具体的に書く(例:「Webサイトの制作・デザイン業務」「フリーランスとしての文章執筆・編集業務」)
- 提出先税務署: 納税地を管轄する税務署
開業日はいつにすべきか
Q. 開業日を過ぎてから届出を出す場合、開業日を遡れますか?
A. 遡ることは可能です。ただし青色申告承認申請書の提出期限は「開業日から2ヶ月以内」で計算するため、開業日を遡りすぎると申請期限を過ぎてしまうことがあります。セットで出す前提で開業日を設定しましょう。
2025年1月以降:控えへの受付印は廃止
2025年1月1日以降、税務署の窓口や郵送で開業届を提出した際、申告書等の控えに「受付印(収受日付印)」が押なつされなくなりました。
提出の証明が必要な場合はe-Taxで「受付結果(受信通知)」を取得するか、郵送であれば配達記録が証明になります。
青色申告承認申請書の書き方と提出期限
なぜ開業届と同時に出すべきか
青色申告承認申請書を提出すれば、その年から最大65万円の青色申告特別控除が使えます。この控除は所得から差し引けるため、実効税率30%なら最大約19.5万円の節税効果があります。
出し忘れるとその年は白色申告確定になります。翌年からしか青色申告できないため、開業届と必ずセットで提出するのが鉄則です。
提出期限(正確な計算)
| 開業日 | 青色申告承認申請書の期限 |
|---|---|
| 1月1日〜1月15日 | 当年の3月15日まで |
| 1月16日以降 | 開業日から2ヶ月以内 |
例:4月1日に開業した場合、期限は6月1日になります。
注意: 期限を1日でも過ぎると当年は白色申告になります。延長申請は認められていません。開業届と同じ日に出せば期限を気にする必要がなくなります。
書き方の要点
- 所得の種類: 「事業所得」にチェック(副業の雑所得のみの場合は該当しないことがある)
- 簿記の方式: 「複式簿記」を選択(65万円控除の条件)
- 備付帳簿名: 「現金出納帳」「売掛帳」「経費帳」「総勘定元帳」「仕訳帳」などにチェック
- その他参考事項: freee・マネーフォワードなどの会計ソフト名を記載することが多い
青色申告65万円控除の3条件
青色申告特別控除で最大65万円を受けるには、以下3つをすべて満たす必要があります。
- 複式簿記で帳簿をつける(仕訳帳・総勘定元帳)
- 損益計算書・貸借対照表を添付して期限内(3月15日まで)に申告する
- e-Taxで電子申告するか、電子帳簿保存法の要件を満たした電子帳簿を保存する
③を満たさない場合(紙で申告のみ)は65万円ではなく55万円控除になります。どちらも白色申告(控除0円)と比べれば大きな差です。
その他の青色申告のメリット
- 純損失の繰越控除:赤字が出た年の損失を翌年以降3年間繰り越せる(開業初年度の赤字に有効)
- 青色事業専従者給与:生計を一にする配偶者・家族への給与を経費にできる(届出が別途必要)
e-Taxでの提出手順
e-Tax提出の3つのルート
| ルート | 向いている人 |
|---|---|
| e-Taxソフト(WEB版)+ マイナンバーカード | PCとカードリーダーを持っている人 |
| スマホアプリ(マイナポータル連携)+ マイナンバーカード | スマホのNFC機能でカード読取できる人 |
| freee開業・マネーフォワード クラウド開業届などのサービス | 会計ソフトで一括管理したい人 |
マイナンバーカードがなければe-Tax経由のオンライン提出は難しいため、郵送または窓口持参が現実的な代替手段になります。
e-Tax(WEB版)の提出ステップ
以下は開業届と青色申告承認申請書を同時にe-Taxで提出する流れの概要です。
事前準備
- e-Taxのアカウント(利用者識別番号)を取得する。マイナポータル経由でアカウント作成が可能
- マイナンバーカードとカードリーダー(またはNFC対応スマホ)を準備する
提出ステップ
- e-Tax WEB版(https://clientweb.e-tax.nta.go.jp/)にアクセスしてログイン
- 「申請・届出」から「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択
- 各項目を入力(納税地・氏名・マイナンバー・開業日・職業・屋号・事業の概要)
- 「青色申告承認申請書」も同じ画面から続けて作成できる場合は同時送信する
- マイナンバーカードで電子署名を付けて送信
- 受信通知を保存する(受付印の代わりになる)
freee・マネーフォワードを使う場合: 各サービスの「開業届」機能から入力・送信まで一括でできます。開業届作成後にそのまま会計管理へ移行できるため、初めての方はこちらが使いやすい場合があります。
郵送で提出する場合
e-Taxを使わない場合は郵送でも提出できます。
- 開業届と青色申告承認申請書を各2部ずつ用意する(1部は控え)
- 管轄税務署あてに郵送する
- 控え用に返信用封筒(切手・宛名記入済み)を同封すると、控えが返送される
提出先・管轄税務署の調べ方
開業届の提出先は「納税地(住所地)を管轄する税務署」です。国税庁の「税務署の所在地・電話番号」ページで郵便番号を入力して調べられます。
- 国税庁 税務署所在地検索: https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
提出期限を過ぎた場合の対処
開業届:罰則はないが早めに出す
開業届の提出期限(開業日から1ヶ月以内)を過ぎても法律上の罰則はありません。遅れて出してもそのまま受理されます。
ただし、屋号付き銀行口座の開設・補助金申請・小規模企業共済への加入などで「開業届の写し」を求められる場面があるため、早めに出しておくほうが後の手続きがスムーズです。
青色申告承認申請書:期限超過は白色申告確定
青色申告承認申請書の期限(開業日から2ヶ月以内、または1月1日〜15日開業なら当年3月15日)を過ぎると、その年は白色申告が確定します。
翌年に申請し直せば翌年から青色申告に切り替えられます。開業した年の節税を最大化するためにも、開業届と同日に提出することを強くすすめます。
よくある疑問
Q. 副業段階でも開業届を出すべきですか?
開業届は義務ではなく、出すかどうかの判断は自由です。ただし出すことで屋号付き口座の開設・補助金・小規模企業共済・融資申請が利用しやすくなります。青色申告の節税も副業段階から受けられます。
一方で「事業をしていることが公式化される」という面もあり(勤務先への影響等)、状況に応じて判断してください。
Q. 開業届を出すと会社員の副業がばれますか?
開業届の情報は基本的に所轄税務署が管轄し、勤務先へ直接通知はされません。ただし副業収入があると住民税額が増加し、勤務先に送られる住民税の特別徴収通知書から収入増加を察知されるリスクがあります。住民税を「普通徴収(自分で納付)」に切り替えることで一定程度リスクを減らせます。詳しくは「副業の住民税、会社にばれないための普通徴収切替の方法」を参照してください。
Q. e-Taxの受信通知はどこで確認できますか?
e-Tax WEB版にログインし「送信結果・お知らせ」から受信通知を確認・保存できます。PDFとして保存しておくと、開業の証明として活用できます。
まとめ:開業時の税務署手続き3つのポイント
開業届と青色申告承認申請書は同日に出す: セットで出せば期限計算を間違えるリスクがなく、その年から65万円控除を受けられる。e-Taxなら税務署不要でオンライン完結
青色申告65万円控除の条件は3つ: 複式簿記・期限内申告・e-Tax電子申告または電子帳簿保存。会計ソフト(freee・マネーフォワード等)を使えば初心者でも対応しやすい
開業届に罰則はないが、青色申告承認申請書の期限超過は痛い: 開業届は遅れても受理されるが、青色申告承認申請書の期限を1日超えるとその年が白色申告確定になる
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参考リンク
- 国税庁・個人事業の開業届出書等の様式: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
- 国税庁・青色申告承認申請書: https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
- e-Tax WEB版: https://clientweb.e-tax.nta.go.jp/
- 国税庁・税務署所在地: https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
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